忘れないで!
Don't Forget Me
タイ/2003/タイ語/カラー、モノクロ/ビデオ/10分
Dir. マナットサック・ドークマーイ
提供:タイ・フィルム・ファウンデーション »
記憶の足音
The Sound of Footsteps on the Pavement
レバノン/2004/アラビア語、フランス語、英語/カラー/ビデオ/52分
Dir. レイン・ミトリ
断絶されたかに見える過去と現在をつなぐ、タイとレバノンからの2作品。軍政下、弾圧された学生運動の映像と民族学映画のナレーション、ポップソングを重ね合わせて叫ぶ『忘れないで!』。『記憶の足音』はベイルートを体現するカフェが、チェーン店によって消えゆく様を記憶しようとする試み。映画に出てくるこのグローバリゼーションのシンボルも2006年今、イスラエルが空爆により消し去ろうとしている。

忘れないで!
Don’t Forget Me
Ya Lerm Chan

タイ/2003/タイ語/カラー、モノクロ/ビデオ/10分
監督、編集、製作:マナットサック・ドークマーイ
提供:タイ・フィルム・ファウンデーション

マナットサック・ドークマーイ
Manutsak Dokmai

1974年生まれ。セント・ジョン職業訓練高校卒業。現在は、タイ国立フィルムアーカイヴのスタッフとして働きながら、スコータイタマティラート大学でコミュニケーション・アーツを勉強中。2000年から9本の短編実験映画を製作。本作は、2003年タイ短編映画祭でラット・ペスタジー賞を受賞し、タンペレ短編映画祭、プサン・アジア短編映画祭、オーバーハウゼン国際短編映画祭など、数々の映画祭で上映されている。

監督のことば
多くの人がそうであるように、1976年10月6日のタマサート大学でおきた虐殺が、どのようにして起き、その背景に何があるのか、私もほとんど知らなかった。思い出すのも語るのもつらい出来事だから、人々は忘れてしまいたいのだ。真実を語るのは難しいが、だからこそ、人々がこの出来事を忘れないよう、私は願う。

シノプシス
1976年10月タマサート大学、集会の学生たちを警察・軍部が弾圧し、赤狩りの名目のもと、大量の学生たちが虐殺された「血の水曜日」の映像。「黄色い葉の精霊」と呼ばれていたタイ北部の少数民族について、60年代の民族学的映像資料に使われていたナレーションの声。「Don't Forget Me」という軽快なラブソングに乗って、ふたつのアーカイヴが乱反射し、映し出す、人々の記憶から抹殺された両者の存在。強烈な色彩、フッテージ、字幕を絶妙に重ね合わせたアート・アーカイヴ・ドキュメンタリー。


記憶の足音
The Sound of Footsteps on the Pavement
Waq’o akdamin aala hijarat al rassif

レバノン/2004/アラビア語、フランス語、英語/カラー/ビデオ/52分
監督、脚本、編集、製作:レイン・ミトリ
撮影:レイン・ミトリ、ラーミ・サッバーグ
録音:ビーサーン・クムスィーエ
提供:レイン・ミトリ

レイン・ミトリ
Reine Mitri

1970年、レバノン生まれ。ビジネス・マネジメントを学ぶ。ドキュメンタリー製作の他、映画評のライター、シネマクラブのプログラマーや映画祭のオーガナイザーとして活躍。2000年からはドキュメンタリー映画のワークショップに参加し、フランス国立映画学校の夏季スクールでは、初のドキュメンタリー・エッセイ『A propos de la poire』を完成。現在はレバノン映画財団に勤務、ドキュデイズ─ベイルート国際ドキュメンタリー祭の実行委員でもある。監督作にエジプト・ドキュメンタリー映画製作者協会によるアラブ・ドキュメンタリー短編優秀作フサーム・アリ賞に輝いた『Querido』(2003)がある。

監督のことば
まず、どの国でも日々繰り返されている物語。街の思い出の中核となる場所が消えて、新しくショッピングセンターに生まれ変わっていく。
次にイメージ。かくして同じイメージがどの場所でも繰り返されることになる。自分の大切なもの、自分の居場所、自分の思い出を守るためにたたかう活動家たちの映像。
使い古されたイメージのドキュメンタリーにならないためにはどうすればいいのか?どうすればビデオ・アクティヴィズムの先へ行けるのか?
映像のニュース性が消えるのを待つため、モッカ・カフェの閉店と前後して起きたあれこれの出来事から1年の歳月を必要とした。
政治的側面をしてこの作品が教訓的映画であるということはない。なぜなら、エキサイティングな暮らしと荒廃、昼間の団結と夜の疎外感、決意と諦め、厳粛さとブラックユーモア、交錯するそれぞれのイメージからにおい立つ詩的情感が、政治性の横に溢れているからだ。結果として、この作品は喪失感と無力感にさらされた、ノスタルジアと癒されることのない悲しみを持つエッセイになった。
今日、再建/破壊は街や人々の思い出から引き裂かれることを意味する。それは人々の周縁化と分断なのだ。

シノプシス
ハムラ通り、1969年から30年以上ベイルートと共にあったモッカ・カフェが取り壊される。街の記憶を体現しているカフェを遺そうと、無力の闘いを挑む若者たちの姿からは、「社会運動」への渇望、疑似体験がみえる。既存のビデオ・アクティヴィズムに抵抗を試みるカメラは彼らと共に、新しく建った量販店の蛍光灯を浴び、街のアイデンティティをカフェの運命に重ね合わせる。様々な集団的記憶を呼びさますドキュメンタリー・エッセイ。

9.20(水)20:10 @ポレポレ東中野
9.27(水)16:45 @ポレポレ東中野
10.17(火)19:30 @アテネフランセ文化センター

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コメント (2)

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主催◎シネマトリックス
共催◎山形国際ドキュメンタリー映画祭実行委員会、アテネ・フランセ文化センター、映画美学校、ポレポレ東中野
協力◎東京国立近代美術館フィルムセンター、大阪府立女性総合センター(ドーンセンター)、東北芸術工科大学東北文化研究センター

フィルム提供:
アテネ・フランセ文化センター、アリイケシンジゲート+大きい木、岩波映像、映画「戦後在日五○年史」製作委員会、川口肇、共同映画社、シグロ、疾走プロダクション、自由工房、白石洋子、鈴木志郎康、瀬戸口未来、高嶺剛、W-TV OFFICE、陳凱欣、朝鮮総聯映画製作所、全州国際映画祭、テレビマンユニオン、直井里予、日本映画新社、朴壽南、ビデオアートセンター東京、プラネット映画資料図書館、北星、松川八洲雄、松本俊夫、もう一度福祉を考え直す会・磯田充子、ヤェール・パリッシュ、山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー