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2006年08月 アーカイブ

2006年08月11日

水没の前に

水没の前に
Before the Flood
中国/2004/中国語/カラー/ビデオ/143分
Dir. 李一凡(リ・イーファン)、鄢雨(イェン・ユィ)
三峡ダムの建設で歴史の町が水没する。移転に伴う補償を求める庶民の強欲と行政の混乱、キリスト教会の裏帳簿に建材の転売取引。電気水道が止められた灼熱の廃墟に留まり続ける人々。喧騒に満ちた生活のどこにでもひっそり遍在するカメラと見事な編集が世界を驚愕させた、ダイレクトシネマの真骨頂。

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蒋(チァン)氏の家+イノセント

蒋(チァン)氏の家
Last House Standing
中国/2004/中国語/カラー、モノクロ
ビデオ/54分
Dir. 干超(ガン・チャオ)、梁子(リャン・ツ)
イノセント
Innocent
シンガポール/2004/英語、中国語、他
カラー、モノクロ/ビデオ/27分

Dir. 陸麗珊(ルー・リーシャン)、何俊雄(ホー・ジュンション)
イノセント公式サイト »
上海再開発に伴い、まもなく取り壊されるお屋敷で、舶来のレモンティーを淹れる一人の初老男。激動の歴史に翻弄されまいと、守り続けてきた家と孤独なマイスタイル。ところが北京からやってきた若い女性の間借り人(監督)が彼の空間に踏み込んでくる…。自殺事件を追いかけたシンガポール作品『イノセント』を同時上映。

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2006年08月14日

公式サイト、オープンしました!

長らくお待たせいたしました。山形in東京2006の情報の全貌をご紹介する公式サイトが立ち上がりました。細かい部分でまだ行き届いていな所があるかと思いますが、ご意見ご感想をwebmasterまでお寄せください。
なお、このサイトでは、トップページに表示されているこのニュースやレポート以外にも、試験的に各プログラムごとにコメント、トラックバックを受け付けるようになっております。みなさんの参加をお待ちしております。

『水没の前に』共同監督・鄢雨(イェン・ユィ)質疑応答記録

PICT1964.JPG7月7日、東京大学東アジア・リベラルアーツ・イニシアティブ(EALAI)の講義で北京より来日した鄢雨(イェン・ユィ)監督のマスコミ試写での質疑応答の様子をレポートページにアップロードしました。飛行機の到着が少し遅れて、ぎりぎり駆けつけての質疑応答にもかかわらず、山形と変わらずエネルギッシュに話す姿は健在でした。

●鄢雨(イェン・ユィ)質疑応答記録

『水没の前に』共同監督・鄢雨(イェン・ユィ)質疑応答記録

PICT1964.JPG7月7日、東京大学東アジア・リベラルアーツ・イニシアティブ(EALAI)の講義で北京より来日した鄢雨(イェン・ユィ)監督のマスコミ試写での質疑応答の様子です。飛行機の到着が少し遅れて、ぎりぎり駆けつけての質疑応答にもかかわらず、山形と変わらずエネルギッシュに話す姿は健在でした。

司会:藤岡朝子 通訳:樋口裕子

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2006年08月15日

憶え描き

憶え描き
Try to Remember
中国/2005/中国語/カラー/ビデオ/90分
Dir. 鍾鍵(チョン・ジエン)
被写体と作り手の関係性が映りこむ映画とはこういうことか。故郷の村へ里帰りし、母親が記憶をたどりながらカメラを持った息子を案内して歩く。なつかしい土、川、木々、今は空っぽの生家に差し込む外光。堰を切ったようにほとばしり出る彼女の知られざる文革時代の過去をしっかりと受け止める息子。雲南芸術学院の卒業制作作品。

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白塔

白塔
White Tower
中国/2003/中国語/カラー/ビデオ/83分
Dir. 蘇青(スー・チン)、米娜(ミー・ナー)
中国で最もろう者の多い河南省に住み再婚を考える中年男性・景明。ろう者の20代の王瑞に恋心を寄せているが、彼女には台湾人の婚約者がいる。周囲の友人たちのおせっかい、前妻との復縁話、お見合い話が飛び込み、今ひとつ踏み出せない彼。山形では監督たちの手話通訳つきトークと地元のろう者との国際交流が話題を呼んだ恋愛群像劇。

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風経+陳炉(チェンルー)

風経
Blossoming in the Wind
中国/2004/チベット語、中国語/カラー/ビデオ/60分
Dir. 孫悦凌(スン・ユエリン
陳炉(チェンルー)
Chen Lu
中国/2004/中国語/カラー、モノクロ/ビデオ/29分
Dir. 林鑫(リン・シン)
雲南の山岳地で、チベット仏教の若いラマ僧と弟子の子どもたちが雪の聖山を巡礼する『風経』。動物も人間も、透き通った光のように天真爛漫に聖と俗の世界を行き交い、生の喜びが伝わる。25歳の監督ならではの伸びやかさ。『陳炉』では中堅の職業画家が初めてのビデオ作品に挑戦。陶芸で有名な町と産業を実験的に捉える。

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鉄西区

鉄西区
Tie Xi Qu: West of Tracks
第1部「工場」240分/第2部「街」175分/第3部「鉄路」130分
中国/2003/中国語/カラー/ビデオ/545分
Dir. 王兵(ワン・ビン)
映画史に新たな古典を刻む、必見の超大作。日本占領時から東北部瀋陽にある重工業地帯、鉄西区。いま巨大な国営事業が傾き倒れていく姿を「工場」「街」「鉄路」の三部構成で描き出す。廃虚となっていく工場や街、変化を余儀なくされる人々、刻々と過ぎゆく時間。監督はカメラ1台と体ひとつで長時間をかけて記録し、中国社会が抱える現実を浮き彫りにした。

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ルート181

ルート181
Route 181 - Fragments of a Journey in Palestine-Israel
ベルギー、フランス、イギリス、ドイツ/2003/アラビア語、ヘブライ語/カラー、モノクロ/ビデオ/270分
Dir. ミシェル・クレフィ、エイアル・シヴァン
国連決議181号で分割線に定められたものの、実現しなかった境界線を土ぼこりとともに辿るザ・ロード・ムービー。パレスティナとイスラエル出身の監督2人が、道中すれ違う人々、それぞれの地の住人・風景と対話し、今あるパレスティナ─イスラエルの現象の断片を記録し、走り、そして立ち止まる。

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壷+いつまで、いつか...。

The Pot
シリア/2005/アラビア語/カラー、モノクロ/ビデオ/12分
Dir. ディヤーナ・エル=ジェールーディ
製作・配給:プロアクション・フィルム »
いつまで、いつか…。
until when...
パレスティナ、アメリカ/2004/アラビア語/カラー、モノクロ/ビデオ/76分
Dir. ダーナ・アブラハメ
「いつまで、いつか」公式サイト »
アラブ社会に女性として生きていることの証を、若い女性監督の手が紡ぎだす2作品。母親としての規範に戸惑いつつも、女性たちが内面を打ち明け、親密さを意外な形で見せる『壷』。「帰還権」を求め続けて難民生活を送るパレスティナ人家族を女性たちの視線や会話を通して生き生きと描き、果てしなく遠い故郷へ思いを馳せる『いつまで、いつか…。』。

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ガーデン

ガーデン
Garden
イスラエル/2003/ヘブライ語、アラビア語/カラー/ビデオ/85分
Dir. ルーシ−・シャツ、アディ・バラシュ
テルアヴィヴの一角ガーデンには、あらゆる人たちが道にあふれ、街灯がまぶしい。イスラエルという表社会では窒息してしまったティーン・エイジャーの親友、ニノとドゥドゥにとってはここが住居だ。日々をやりすごすにも厳しい路上生活を送りながら、彼らのその目の先には、“何か”が広がっている。

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25歳、小学二年生+忘却

25歳、小学二年生
The Spirit of 8
台湾/2003/中国語、台湾語/カラー/ビデオ/60分
Dir. 李家驊(リー・ジアホア)
忘却
Keep the Change
トルコ/2003/トルコ語/カラー、モノクロ/ビデオ/27分
Dir. ジェレン・バヤル、ディレキ・イイギュン、エリフ・カラデニズリ、オズゲ・ケンディリジ、サヴァシュ・イルハン
大人になっても幼少の心の傷から離れられない監督が、じわじわとむしばむ自己嫌悪と決別しようとカメラを手にした『25歳、小学二年生』。傷や弱さをさらけ出した先にあったのは、意外にも温かい涙だった。併映はトルコの刑務所内で抵抗を続けた政治犯たちが受けた武力弾圧を告発する『忘却』。

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移りゆくステージ+消えゆく思い出

移りゆくステージ
Fluiding Stage
台湾/2004/台湾語/カラー/ビデオ/42分
Dir. 林啓壽(リン・チーショウ)
消えゆく思い出
Diminishing Memories
シンガポール、オーストラリア/2005/英語、中国語/カラー、モノクロ/ビデオ/27分
Dir. 翁燕萍(ウォン・イエンピン)
移動人形劇の一座は鮮やかさと懐かしい雰囲気をトラックに載せて台湾を巡る。ロマンティックな郷愁と淡々とした劇団員の日常が絶妙にあわさったロード・ムービー『移りゆくステージ』。併映は国策の工業地建設のため強制転居をやむなくした監督家族と住民たちの幸せだった故郷を想う『消えゆく思い出』。

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天下第一の家

天下第一の家
The House Masters
台湾/2004/中国語、台湾語/カラー/ビデオ/89分
Dir. 呉乙峰(ウー・イフォン)
南投県國姓郷石門村にある集合住宅「天下第一の家」は、震災で粗悪建材の使用が発覚。住人は手抜き工事の建設業者を相手取り、業者の不備を糾弾する。監督の呉乙峰は『生命(いのち)』と手法を変え、生きることに欠かせない住まいをめぐる問題に立ち向かう人々を見つめる逸品。

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梅の実の味わい

梅の実の味わい
A Taste of Plum
台湾/2004/中国語、台湾語、客家語/カラー/ビデオ/142分
   Dir. 郭笑芸(グオー・シャオウィン)
震源地付近の南投県南港村は、地崩れにより多くの家屋が土砂に埋もれてしまった。母親と家屋を失った朱三兄弟は泣き寝入りすることなく、政府と対立しながらも、村人たちと被災地の観光地化にのりだす。だんだんと住民たちの懐に入っていくカメラは優しく、彼らの屈託のないたくましさを映し出していく。

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部落の声

部落の声
Radio Mihu
台湾/2004/中国語、タイヤル語/カラー/ビデオ/136分
Dir. 李中旺(リー・チョンワン)
台湾文学界で一目置かれるワリス・ノガン。詩人、教師である彼は震災を機に先住民タイヤル族の村、台中県雙崎部落に戻り、伝統と共にある理想的な共同体づくりを実践している。しかし、古老たちや近隣住民などとうまくいかず試行錯誤するのだが…。節回し的に登場するDJバヤスが心温まる妙味を醸し出す。

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三叉坑

三叉坑
Three Fork Village
台湾/2005/中国語、タイヤル語/カラー/ビデオ/144分
Dir. 陳亮丰(チェン・リャンフォン)
50年程前『部落の声』の雙崎から三叉坑へ移住したタイヤル族の小村。震災後も住民は集団移転をすることになる。先住民たちの就職は厳しく、生活難に土地を手放してしまう人々の悲しみやいらだち。部落に戻った若者2人を中心に、政府の支援が難航しても、世代を超え復興に向かう姿をすがすがしく捉える。

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望郷

望郷
Homesick Eyes
台湾/1997/タイ語、英語/カラー/35mm/85分
Dir. 徐小明(シュー・シャオミン)
グローバル経済の波の下、台湾にたどり着いたフィリピン人の家政婦、タイ人の建設現場労働者、中国からの不法移民。4人が持ったよりよい生活への希望は新たな悲劇となってしまう。望郷の念にかられたそれぞれの心の輪郭。監督は台湾ニューシネマのベテラン、『天幻城市』『五月の恋』の徐小明。

祖母のかんざし

祖母のかんざし
Grandma's Hairpin
台湾/2000/中国語/カラー/16mm/90分
Dir. 蕭菊貞(シャオ・ジュイジェン)
1949年、国民党政府と共に中国大陸から台湾に移った兵士のひとりだった監督の父。当時はすぐ中国に戻ると信じていたが、故郷に戻る望みはもうない。中国に残った祖母の銀色のかんざしと父や友人たちの思い。台湾の青い空に退役軍人たちの深い追憶がにじんでいく。

イラク─ヤシの影で

イラク─ヤシの影で
In the Shadow of the Palms - Iraq
オーストラリア/2005/アラビア語、英語/カラー、モノクロ/ビデオ/90分
Dir. ウェイン・コールズ=ジャネス
2003年春、イラク攻撃4週間前。アメリカによる攻撃開始が予見されながらも日々の日常に勤しむバクダットの人々。イラクと世界に対する見解や立場はそれぞれに異なるが、朗らかであった人々の空気は、攻撃開始後一変する。世界がプロパガンダの嵐にさらされる中で、監督は自分の目で見た「イラク」を伝える。

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ジャスティス

ジャスティス
Justice
オランダ、ブラジル/2004/ポルトガル語/カラー/35mm/100分
Dir. マリア・ラモス
リオ・デ・ジャネイロの刑務所や裁判所の内部に向けられた視点は、そこに関わる人や関わらざるを得ない人々の日常を行き来しながら、 “正義(ジャスティス)”の周辺を描き出す。それは、権力構造と階級観の不公平を有するブラジル社会の縮図でもあり、その現実の複雑さと矛盾に対して、カメラはひたすら目を凝らす。

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ファイナル・ソルーション

ファイナル・ソルーション
Final Solution
インド/2004/ヒンディー語、グジャラート語、英語/カラー/ビデオ/150分
Dir. ラケッシュ・シャルマ
2002年インド西部グジャラート州で起こったイスラム教徒の虐殺事件の真相を探りながら、インドにおけるヒンドゥー教徒とイスラム教徒の対立を捉える。監督は、出口の見えない対立構造を真摯に直視しようと試み、ヒンドゥー教徒とイスラム教徒両者の証言により、憎悪の形成と増幅を丹念に描き出す。

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リハーサル

リハーサル
Rehearsals
スウェーデン/2004/スウェーデン語/カラー/35mm/101分
Dir. ミハウ・レシチロフスキー
実際に服役中の囚人3人が公開の舞台で演じるプロジェクト「7:3」。リハーサルを続ける過程、ネオナチを含んだ囚人たちの証言、実際の公演、という3つの映像が複雑に絡み合いひとつの物語に。現実と虚構がボーダーレスに行き交い、観客を惑わし続ける。スウェーデンでスキャンダルとなったこのプロジェクトは衝撃の終幕を迎える。

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農家に還る

農家に還る
Back to the Soil
韓国/2004/韓国語/カラー/ビデオ/85分
Dir. クォン・ウジョン
都会から田舎に移り住み、農業を友人家族と共に始めて5年の若い夫婦。慣れない農業生活の中で、手探りの収穫作業、自由貿易協定(FTA)の拡大に対する抗議活動、幼い娘の手術や父の病気など次々と困難に直面する。地方農産業に対する政府の無関心で見放した政策に抵抗しながら、未来を見据えた農民運動を試みる。

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昨日 今日 そして明日へ…

昨日 今日 そして明日へ…
Yesterday Today Tomorrow
日本、タイ/2005/タイ語、英語/カラー/ビデオ/90分
Dir. 直井里予
きゃしゃな体の隅々から生命力をいかんなく発揮する少年ボーイ。魚を売り、畑を耕し、日々の生活を愛しむ若い夫婦。もうすぐ失ってしまうかもしれない最愛の人たちと過ごす一瞬一瞬、近所の人たちとの何気ないやりとり。タイ北部の日常風景の中でHIVに感染した2家族と交わりながら、3年間かけてカメラに生の時を刻んだ。

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メランコリア 3つの部屋

メランコリア 3つの部屋
The 3 Rooms of Melancholia
フィンランド、ドイツ、デンマーク、スウェーデン/2004/
ロシア語、チェチェン語、アラビア語、フィンランド語/カラー、モノクロ/35mm/106分
Dir. ピルヨ・ホンカサロ
サンクトペテルブルクの士官学校、廃墟と化したグロズヌイ、チェチェンに近いイングーシ共和国に住む様々な背景の子どもたち。少年たちはロシア兵になる訓練を受け、孤児院や路上で生活を送り、ムスリム文化の中で暮らす。チェチェン武装グループによる劇場立てこもり事件とロシア兵の暴力を軸に、子供たちの無言で、深い眼差しの先にある傷を静かに映し出す。

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狂気の瞬間+やってはいけません

狂気の瞬間
Mad Minutes
韓国/2003/韓国語、ヴェトナム語/カラー、モノクロ/ビデオ/82分
Dir. イ・マリオ
製作・配給:ソウル・ヴィジュアル・コレクティヴ »
やってはいけません
The Things That We Shouldn't Do
韓国/2003/韓国語/カラー、モノクロ/ビデオ/5分
Dir. キム・ギョンマン
韓国の若い男性監督たちが、加害者としての自国の戦争を見据え、今につないでゆく意欲作2本。『狂気の瞬間』では前世代の戦争“ヴェトナム”を訪れ、韓国軍兵士たちが虐殺した村の住民、生存者たちの証言を記録する。『やってはいけません』は今の世代の戦争“イラク”に立ち、ヴェトナム戦争参戦時に盛況だった韓国の軍隊マッチョ文化のアーカイヴ映像を利用して問いかける。

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忘れないで!+記憶の足音

忘れないで!
Don't Forget Me
タイ/2003/タイ語/カラー、モノクロ/ビデオ/10分
Dir. マナットサック・ドークマーイ
提供:タイ・フィルム・ファウンデーション »
記憶の足音
The Sound of Footsteps on the Pavement
レバノン/2004/アラビア語、フランス語、英語/カラー/ビデオ/52分
Dir. レイン・ミトリ
断絶されたかに見える過去と現在をつなぐ、タイとレバノンからの2作品。軍政下、弾圧された学生運動の映像と民族学映画のナレーション、ポップソングを重ね合わせて叫ぶ『忘れないで!』。『記憶の足音』はベイルートを体現するカフェが、チェーン店によって消えゆく様を記憶しようとする試み。映画に出てくるこのグローバリゼーションのシンボルも2006年今、イスラエルが空爆により消し去ろうとしている。

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生まれなかった映画たち

生まれなかった映画たち
Cinéma Invisible - The Book
オランダ/2005/オランダ語/カラー、モノクロ/ビデオ/73分
Dir. ケース・ヒン
映画化されなかった脚本集『シネマ・インビジブル』を求めて書店を訪れた女性をナビゲーターに、未映画化作品のエッセンスを映像化。『地下鉄のザジ』や『戦艦ポチョムキン』なども挿入され、『赤い風船』を彷彿させるように、ひとつの紙くずが街中を自由に動き回る、遊び心たっぷりのファンタジー・ドキュメンタリー。

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マルグリット・デュラス、あるがままの彼女

マルグリット・デュラス、あるがままの彼女
Marguerite as She Was
フランス/2002/フランス語/カラー、モノクロ/ビデオ/61分
Dir. ドミニック・オーヴレイ
「よく笑い、真面目で、誠実で、挑発的で、注意深く、きっぱりしていて、しかしなによりも若々しく、自由な彼女に近づくために」(オーヴレイ)、マルグリット・デュラスと一緒に仕事をした編集者ドミニック・オーヴレイ(ペドロ・コスタ監督『ヴァンダの部屋』やヴィム・ヴェンダース監督『都市とモードのビデオノート』などの編集)が、初めて監督として作ったドキュメンタリー。

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海岸地+金槌と焔

海岸地
Foreland
オランダ/2005/オランダ語/カラー、モノクロ/35mm/70分
Dir. アルベルト・エリンフス、オウジェニー・ヤンセン
「海岸地」公式サイト »
金槌と焔
Hammer and Flame
イギリス、インド/2005/言語なし/カラー/ビデオ/10分
Dir. ヴォーン・ピーリーキュン
オランダのある堤防と河の間にある水辺の牧草地。人々や動物、木々や河の流れもすべてが豊かでゆったりと時間が流れる。そんな村の光景を、一心に見つめ、耳を澄まし、何も語らずに7年の歳月をかけフィルムに刻んだ『海岸地』。北インド・アランの船解体所で真二つに割られ、人々の手にした金槌、そして焔によって溶けて行く巨大なタンカーの姿を寓話的に描いた『金槌と焔』。

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静かな空間

静かな空間
About a Farm
フィンランド/2005/フィンランド語/カラー/ビデオ/54分
Dir. メルヴィ・ユンッコネン
提供:フィンランド・フィルム・ファンデーション »
老いた猫のお引越し
Moving Adult Cats
スウェーデン/2004/スウェーデン語/カラー/ビデオ/58分
Dir. ヨハン・ルンドボーグ
製作:ミグマ・フィルム »
北欧の小さな田舎町を舞台にした2作品。両親が直面する時代の流れを受け、変わって行くフィンランドの農場経営。それを内から見つめ、家族の絆の深さが印象的な『静かな空間』。スウェーデンの町で、ひとり暮らしのふたりの老人の日常に寄り添い、自分らしく老いを生きる姿を繊細に描いた『老いた猫のお引越し』。

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パレルモの聖女

パレルモの聖女
The Virgin of Palermo
ドイツ、イタリア/2005/イタリア語/モノクロ/35mm/82分
Dir. アントニオ・グイーディ
さまざまな文化や宗教を持つ人々が共存しているイタリアのシチリア島パレルモ。7月に行われるサンタ・ロザリア祭は、17世紀に町をペストから救ったと伝えられる聖女を讃える町をあげての盛大な祭り。町全体に根付いている信仰と伝統が現代にも引き継がれ、華やいだ祭りの奥にある地域文化の豊かさとおおらかさに心惹かれる。

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大統領ミール・ガンバール

大統領ミール・ガンバール
President Mir Qanbar
イラン/2005/ペルシャ語/カラー/ビデオ/70分
Dir. モハマド・シルワーニ
イランの片田舎に暮らす75歳のミール・ガンバールは、大統領になることを信じ、立候補を続けている。彼の選挙運動や家族との関わりが、地方のゆったりとした雰囲気やリズムとともに丁寧に描かれる。彼の純真で朴訥な姿は、滑稽さと悲哀さを漂わせながら、イランの抱える政治社会の断片を映し出す。

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果ての島

果ての島
The Island at the End of the World
フィリピン/2004/フィリピン語、イトバヤット語/カラー/ビデオ/106分
Dir. ラーヤ・マーティン
ヨーロッパ的風景で知られ、夏の短い間の観光地としてしかあまり知られぬ、フィリピン最北端に位置するイトバヤット島。カメラ片手に島に降り立った若い都会人である監督が、自由に時間が流れる島の呼吸に身を浸し、自身を島に投影するように、悠々と素朴な島人たちに緩くカメラを這わせ、そこにある物語を探る。 

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謝罪+虚構の砦+Worldly Desires

謝罪
APOLOGY
日本、シンガポール/2005/日本語、英語/カラー/ビデオ/6分
Dir. 陳凱欣(タン・カイシン)
虚構の砦
Fort of the Fabrications
2004/日本語、英語、他/カラー/ビデオ/32分
Dir. 瀧健太郎
瀧健太郎監督公式サイト »
Worldly Desires
韓国/2005/タイ語/カラー/ビデオ/42分
Dir. アピチャッポン・ウィーラセタクン
Worldly Desires 公式サイト »
ビデオ映像が持つ意味と記号の差異から、虚構性を捉えることを大胆に試みる2作品。日本政府の戦争責任に対する公式謝罪の言葉を集めた『謝罪』と都市・生活空間そのものがビデオ・メディア化しているとも言える状況を読み解く『虚構の砦』。『Worldly Desires』は、タイのジャングルを舞台にした劇中劇。慣習に対するある種の実験と撮影の思い出。

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カンパラでの初期症状+Foolosophy+1942年2月15日と1945年8月15日のあいだ+これが民主主義の姿だ!

カンパラでの初期症状
Early Symptoms in Kampala
ウガンダ/2005/英語/カラー、モノクロ/ビデオ/7分
Dir. ジェフ・ウォーカー
Foolosophy
日本/2006/日本語/カラー/ビデオ/10分
Dir. 印牧和美
1942年2月15日と1945年8月15日のあいだ
INTERPRETING/IMAGINING 15 FEBRUARY 1942 - 15 AUGUST 1945
日本、シンガポール/2005/日本語、英語/カラー/ビデオ/20分
Dir. 陳凱欣(タン・カイシン)
これが民主主義の姿だ!
This is what democracy looks like!
オーストリア/2002/ドイツ語/カラー/ビデオ/38分
Dir. オリバー・レスラー
「これが民主主義の姿だ!」公式サイト »
VCTの定期ショーイングで、昨年紹介されたウガンダのジェフ・ウォーカーが描く地元カンパラでの知のありかたを探る『カンパラでの初期症状』、VCT創設メンバーでもある印牧和美の新作と、2002年、右翼化した当時のオーストリア政府とG7首脳会議時に投入された特殊警察と大衆の衝突を描く『This…』のVTCセレクションに加え、8月15日の靖国神社と遊就館、8月6日の広島平和記念式典から始まり被害者と加害者を探る『1942年…』。

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アンコールの人々

アンコールの人々
The People of Angkor
フランス/2003/カンボジア語/カラー/ビデオ/90分
Dir. リティー・パニュ
アンコール・ワットを舞台にそこに住む人々や遺跡、観光客たちの情景をひとりの少年を主人公に描く。遺跡の石に描かれた物語や呪術的な物語が現在のカンボジアと重なる。まだ残る内戦の痛み、都会と農村の落差、未来を見通せない少年の思いがゆったりとしたリズムと美しい映像で綴られ、静かな感動を呼び起こす。

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さすらう者たちの地

さすらう者たちの地
The Land of the Wandering Souls
フランス/2000/カンボジア語/カラー/ビデオ/100分
Dir. リティー・パニュ
戦火に荒廃したカンボジアで、光ファイバーケーブルの敷設作業が行われている。多くのカンボジア人に働き口を与えるこの事業が、彼ら自身に恩恵を与えることはあるのだろうか。数カ月に及ぶ作業が進むにしたがい、土地を失った農民、復員兵士、貧しい家族らがさすらいの身となっていく。

S21 クメール・ルージュの虐殺者たち

S21 クメール・ルージュの虐殺者たち
S21, the Khmer Rouge Killing Machine
フランス/2002/カンボジア語/カラー/ビデオ/101分
Dir. リティー・パニュ
かつての政治犯収容所「S21」。クメール・ルージュの大虐殺による加害者と被害者をその場所に集め、非人間的で過酷な日々を再現していく。対峙する元看守と元捕虜のやりとりの迫真性が25年という時を越える。人間の残虐さと個人の責任について考えさせる静かな衝撃は重い。

肘折物語+雪国+北の健兵

肘折物語
1992/カラー/16mm/18分/Dir. 小川紳介
雪国
1939/モノクロ/16mm/38分/Dir. 石本統吉
YIDFF公式サイト「雪国」»
北の健兵
1943/モノクロ/35mm/19分/フィルムセンター所蔵/Dir. 井上莞
山形県のフィリピン花嫁を題材に企画、未完に終わった小川紳介のテスト的なフィルム、雪の大蔵村が撮影された『肘折物語』。在日朝鮮人シネアスト井上莞が撮影に関わった、山形県新庄を舞台としたドキュメンタリーの古典『雪国』。製作時以来恐らく東京では初上映の、井上莞演出のダイナミックな軍事演習を描く『北の健兵』を併映。

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アリランのうた オキナワからの証言

アリランのうた オキナワからの証言
1991/カラー/ビデオ/100分
Dir. 朴壽南(パク・スナム)
「死んでいった人たちへの鎮魂であり、その魂を私たちと共に再生させること」(朴壽南)。作家朴壽南が、『もうひとつのヒロシマ アリランのうた』に続いて、沖縄戦時下の証言を中心に描いた作品。“車夫”として連行された朝鮮人男性、“慰安婦”として連行された女性たち。ラストシーンの「アリラン」の舞が印象的。新たにテロップを入れたニュー・バージョンを上映。朴壽南は、再び沖縄に向かい新作を制作中。

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日本のニュース パート1+朝鮮の子+日本の子どもたち

日本のニュース パート1
1951-68/モノクロ/ビデオ/計15分/Pro. 日本映画新社
朝鮮の子
1955/モノクロ/35mm/30分/Dir. 荒井英郎 京極高英
日本の子どもたち
1960/モノクロ/16mm/54分/Dir. 青山通春
1952年の東京都教育委員会の、朝鮮人学校廃校通告に憤慨した在日の人々が制作した『朝鮮の子』。長崎の小学生と不法入国者として収容されていた韓国の子どもたちの交流を描いた児童教育映画『日本の子どもたち』。在日に関連する日本のニュースを併映。今こそ歴史を見つめよう。

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日本のニュース パート2+民族教育を考える+日本海の歌

日本のニュース パート2
1951-68/モノクロ/ビデオ/計15分/Pro. 日本映画新社
民族教育を考える
1976/モノクロ/16mm/30分/Pro. 朝鮮総聯映画製作所
日本海の歌
1964/モノクロ/16mm/60分/Dir. 山田典吾
朝鮮大学校で学ぶ学生たち、朝鮮学校へ通う子どもたちや家族の声などを綴り、異国の地で生きる朝鮮民族のあるべき姿を探った『民族教育を考える』。日朝自由往来をテーマにした日本独立映画運動推進者のひとり山田典吾が制作した『日本海の歌』。帰還運動華やかなりし頃の日本のニュースを併映。

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心の旅路〜わたしの家族の物語〜(パリッシュ家)+ははのははもまたそのははもその娘も+これは私の記憶です/それは私の記録でした

心の旅路〜わたしの家族の物語〜(パリッシュ家)
At the Parishes
スイス/2003/スイス・ドイツ語、他/カラー/ビデオ/ビデオ/30分
Dir. ヤェール・パリッシュ
YIDFF2005 公式サイト「パリッシュ家」»
ははのははもまたそのははもその娘も
日本/2005/日本語/カラー/ビデオ/11分
Dir. 瀬戸口未来
YIDFF2005 公式サイト「ははのははもまたそのははもその娘も」»
[新作]これは私の記憶です/それは私の記録でした(仮題)
Dir. 瀬戸口未来

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松本俊夫×高嶺剛×川口肇(監督)

松本俊夫×高嶺剛×川口肇(監督)
つぶれかかった右眼のために
1968/カラー/DVD/13分/監督:松本俊夫
サシングヮー
1973/カラー、モノクロ/16mm/13分/監督:高嶺剛
YIDFF2003 公式サイト「サシングヮー」»
異相 Ver. 7.6
2001/カラー/ビデオ/51分/監督:川口肇
YIDFF2001 公式サイト「異相」»
実験映像のパイオニア松本俊夫の『つぶれかかった…』は三面マルチスクリーンを駆使した68年カウンターカルチャーの記録。『サシングヮー』は「僕の映画の原点みたい…いとしい短篇です」という沖縄を代表する映像作家・高嶺剛による家族の記憶を巡るクロノロジー。「作者って一体何処にいるのか…」と問う川口肇は30代若手ホープ。ドキュメンタリーの形式を無限大にまで広げる作家たちの営み。

時枝俊江(監督)

時枝俊江(監督)
夜明けの国
1967/カラー/35mm/110分
「文化大革命について中国共産党が声明を出したのは8月8日です。私たちが撮影のために入国したのがちょうど8月8日でした」(時枝) 国交正常化前の中国、激しく揺れ動く文化大革命の嵐の中で半年に及ぶ、長期ロケで完成された作品。文化大革命初期の貴重な記録。

大津幸四郎(撮影)×田村正毅(撮影)×久保田幸雄(録音)

大津幸四郎(撮影)×田村正毅(撮影)×久保田幸雄(録音)
日本解放戦線・三里塚の夏
1968/モノクロ/16mm/108分/監督:小川紳介
小川プロの「三里塚」シリーズ第1作。この作品を契機に小川プロの“定点観測”による撮影が確立されていく。カメラは機動隊に対して武装を決断する青年行動隊を中心に闘争の内部へと入り込んでいく。小川は「全ショットを農民の列中から、その視座から撮り、権力側を撮るにも、正面から、それとの対面で、すべてを撮った」と語っている。

土本典昭(監督)×大津幸四郎(撮影)

土本典昭(監督)×大津幸四郎(撮影)
「医学としての水俣病」三部作
第一部 資料・証言編 1974/82分
第二部 病理・病像編 1974/103分
第三部 臨床・疫学編 1975/91分
カラー/16mm
「1973年3月の判決以後、それまでの勢いの退潮は予感しました。気持としては退潮期にはむしろ逃げられない」(土本) 「患者の苦しみを背中に背負った門外漢として切り込んでいくことが必要だった、徹底的に」(大津) 水俣病について当時の医学的記録、資料、実験などを交え詳細に検証していく。同時に医学の限界も露呈、水俣病が現在も続いていることが告げられる。

田村正毅(撮影)×久保田幸雄(録音)

田村正毅(撮影)×久保田幸雄(録音)
三里塚・辺田部落
1973/モノクロ/16mm/146分/監督:小川紳介
一連の小川プロ「三里塚」作品群の6番目。闘争の荒々しい白熱から一歩引き、農民の生活や心理に寄った傑作。「ちょっと落ち着いてというか…離れてじゃなくて客観的になれる。または彼らの中に溶け込んでいれるというか、そんな時間にいたんでしょうね」(田村)

原一男(監督)

原一男(監督)
全身小説家
1994/カラー/35mm/157分/イメージ篇撮影:大津幸四郎
1992年に他界した作家・井上光晴の晩年に、『極私的エロス』や『ゆきゆきて、神軍』でアクションドキュメンタリーを打ち立てた原一男が対峙する。「僕らもドキュメンタリーをやっていて、虚構と現実の関係というのは抜きにできない問題ですが、生身の井上光晴という人が、どういう生きざまと作品で虚構と現実の関係を作り上げているのかを見せてもらおう」(原)

是枝裕和(監督)×森達也(監督)

是枝裕和(監督)×森達也(監督)
もう一つの教育~伊奈小学校春組の記録~
1991/カラー/ビデオ/47分/監督:是枝裕和
是枝裕和監督公式サイト »
1999年のよだかの星
1999/カラー/ビデオ/52分/監督:森達也
森達也監督公式サイト »
「子どもが過ごしている時間というものを追体験してみたい…っていうのが真面目な意見ですけど、本当はすごく好きな女の子が1人いて(笑)」(是枝) 「じゃあ自分でやろう、ルーティンから抜け出て、自分で好きなもの作ればいい。それからドキュメンタリーが面白くなった。」(森) 一頭の乳牛を飼育することで学習する小学生たちの記録。動物実験を通した<生の営み>の矛盾を提示。テレビで自由な才能を開花させた2人のフジテレビ「NONFIX」作品。

羽田澄子(監督)×工藤充(製作)

羽田澄子(監督)×工藤充(製作)
早池峰の賦
1982/カラー/16mm/185分
「岩手県の山村を撮った時には、町がこの企画に協力してくれて、お金を集めることを一緒にやってくれたんです」(羽田) 岩手県の山奥、古くから霊山として知られ、山伏の修行場でもあった早池峰山。そこで舞われる神楽は人々を魅了してやまない。変わりゆく地域住民の生活の中でも、山と共にあり息づく伝統芸能の姿を捉える。

河瀬直美(監督)

河瀬直美(監督)
杣人物語
1997/カラー/16mm/73分
「過疎のその村の中で生きている高齢の彼らにとって、私の存在はたぶん1つの光のような感じでやってきたのかもしれないんですよね。私自身も彼らと過ごすその時がとても心地よかった」(河瀬) 劇映画第1作目の『萌の朱雀』で遭遇した大がかりな製作体制を後に、河瀬は8mmとビデオカメラをもって奈良県吉野の、山に生きる老人たちの懐に飛び込んだ。

大木裕之(監督)

大木裕之(監督)
g8-2(カリ)
2003-/カラー/ビデオ/83分
g8-23(カリ)
2005-/カラー/ビデオ/23分
ドキュメンタリー、実験映画、ピンク映画、ビデオ・アート他、旺盛な活動を続けている大木裕之が今年の東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で発表した新作。高知、東京、中国で、自らの存在を問い、虚構と現実の境界をさまよいながら、終わりのない旅を続ける大木監督の現在。併せて大木監督の最新作を本邦初上映。

呉徳洙(オ・ドクス、監督)

呉徳洙(オ・ドクス、監督)
戦後在日五〇年史 在日
1997/カラー/16mm/258分
「 “在日”って一体何なんだっていうね。国籍なのか血なのかルーツなのか、それら全部なのか。時が経つごとに見えにくくなっている」(呉) 解放から50年に及ぶ在日の歴史をまとめた、二部構成の壮大な作品。前半「歴史篇」は、膨大な映像資料、証言をもとに年代順に追う。後半「人物篇」では、一世、二世、三世、その生き方を活写する。

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土屋豊(監督)

土屋豊(監督)
新しい神様
1999/カラー/ビデオ/99分
「自分の存在っていうのは本当に重要なのか、という思いは、社会との接点の無さということの現われだと思うんですね。その社会と接点を持てないこのフヤフヤとしたこの退屈な、“終わりなき日常”の中で」(土屋) いまを生きる日本人の不安と高揚を娯楽たっぷりに捉えた青春ドキュメンタリーの金字塔。いまや人気作家雨宮処凛の主演作。

亀井文夫(監督)×プロキノ(制作)×工藤充(製作)

亀井文夫(監督)×プロキノ(制作)×工藤充(製作)
信濃風土記より 小林一茶
1941/モノクロ/35mm/27分/監督:亀井文夫
山宣渡政労農葬
1929/モノクロ/35mm/6分/プロキノ作品
教室の子供たち
1954/モノクロ/35mm/29分/監督:羽仁進
19世紀の俳人小林一茶の俳句をモチーフに信濃の農民の自然と貧困の中の生活を描いた詩的ドキュメンタリー『小林一茶』。亀井監督最高作との呼び声も高い。併映は治安維持法に反対し暗殺された山本宣治の労農葬を収めた『山宣渡政労農葬』と「一番最初のヒット作ですね」(工藤)という当時の記録映画、教育映画の新しい地平を切り拓いた記念碑的作品『教室の子供たち』。

鈴木志郎康(監督)

鈴木志郎康(監督)
草の影を刈る
1977/モノクロ/16mm/200分
約1年間、自分の日常生活の「プライベートな部分を撮影して」「そこにイメージを作り出していく」中で、NHKを退職する決意を固めさせた作品。「僕の映画を作る最初の出発点というのはアンチ・メディアなんです。…マスメディアを支配している価値観とは違うものとして自分のフィルムを提出しなければならない、と思っている」(鈴木)

柳澤壽男(監督)×松村禎三(音楽)

柳澤壽男(監督)×松村禎三(音楽)
ぼくのなかの夜と朝
1971/カラー/16mm/100分
「こいつらはどうしてこんなに元気がいいんだろう。それを知りたいなと思って撮り始めたんですよ」(柳澤) 「僕がこれまでで一番感動したドキュメンタリーですね」(松村) 身障者の人たちへのまなざしを自身に突き刺すよう先鋭化していった柳澤監督が描く、進行性筋萎縮症の子どもたちの生活の記録。日本を代表する音楽家松村禎三の旋律が胸を打つ。

黒木和雄(監督)×久保田幸雄(録音)×松村禎三(音楽)

黒木和雄(監督)×久保田幸雄(録音)×松村禎三(音楽)
わが愛北海道
1962/カラー/35mm/47分/録音:久保田幸雄、音楽:松村禎三
東芝の電気車輌
1958/カラー/35mm/20分
今年急逝された黒木和雄のPR映画2本。「もう、ゴダールやレネとも出会っていますから、四季折々の観光地や工場の将来性を謳うっていうのはちょっとしんどくて、劇映画仕立てにしよう、ということにしたんですね」(黒木) 「自分で演出をやるより、こういう人たちと一緒に仕事をしたいということで、録音の仕事をやることに決めたんです」(久保田)と語る「青の会」の熱気に繋がる『わが愛北海道』。併映は『東芝の電気車輌』。

松川八洲雄(監督)

松川八洲雄(監督)
不安な質問
1979/カラー/16mm/85分
熊野古道
2006/カラー/VHS/15分
「この映画は4度エンディングがあるんです。これでは終われないという結果、“結”が連続しました」(松川) 日本ドキュメンタリーの名作『不安な質問』。当初のタイトルが『ユートピア斗争宣言』というように、1970年代初頭、自分たちの農場を作り運営する都市生活者コミューン「たまごの会」のラディカルな道のりをエネルギッシュに描く。併映は松川監督最新作を特別先行上映。

佐藤真(監督)×大津幸四郎(撮影)

佐藤真(監督)×大津幸四郎(撮影)
エドワード・サイード OUT OF PLACE
2005/日本語、英語、アラビア語、ヘブライ語/カラー/35mm/137分
パレスティナ出身の思想家エドワード・サイードの遺志と記憶をたどりながら、中東の和解と共生を考える旅。「目に見えるボーダーは、今イスラエルが作っている分離壁とか、本当に目立ち過ぎるくらいにはっきり見えるんだけど、実際にサイードが、直接的に問題にしたのは目に見えないほうの壁だと思うんです。人々のなかに無数の目に見えない壁がある」(佐藤)

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雲南映像フォーラム・プログラム1

息子は家にいない
The Son Is Not at Home
2004/タイ族語/15分
Dir. 和淵(ホー・ユェン)
グブ村のキャラバン隊
Gebu Sweet Gebu
2005/チベット語/60分
Dir. 曽慶新(ヅン・チンシン)
ミャンマーからの麻薬密売ルート上の村で、ある一家の窮状を静かに見守る短編。チベット自治区でキャラバン隊と共に旅する。ロバの鈴の音と歌声が空高く響く。

雲南映像フォーラム・プログラム2

金平(ジンピン)県ハニ族の織物
Hani Textile Arts in Jinping
2005/ハニ語/29分
Dir. 和淵(ホー・ユェン)、王京(ワン・チン)
ハニ族の新年祭“ガタンパ”
Akha (Hani) New Year: “Gatangpa”
2003/ハニ語/20分
Dir. 曽益群(ヅン・イーチュン)、呂賓(ルー・ピン)
霧の谷
Foggy Valley
2003/中国語、ハニ語/45分
Dir. 周岳軍(ジョウ・ユエジュン)
少数民族のハニ族は自分たちの伝統文化を映像に残すため、手作りアニメなど趣向をこらす。『霧の谷』は山間深いハニ族の村を訪れたTVディレクターの失望を再現したドラマ。

雲南映像フォーラム・プログラム3

翡翠駅
Jade Green Station
2003/中国語/122分
Dir. 于堅(ユィ・ジエン)
ヴェトナムと雲南を結ぶ鉄道の小さな駅。地元の人々と共に時間の厚みと暗闇の深さを湛えてきた。詩人于堅による映像詩。

雲南映像フォーラム・プログラム4

シリーズ『カワガルボ伝奇』
Series “A Legend of Kawakarpo”
「登山者」「収穫」「ラマ僧に捧げる食膳」「野花谷」ほか
2005/チベット語/180分
Dir. 郭浄(グオ・ジン)
チベット人が聖山と敬う梅里雪山。山岳隊の遭難事故から遺品回収に来た日本人青年とふもと村人の交流、巡礼者の素顔、麦の収穫をする少女たちなど日常の豊かさが映りこむ。

雲南映像フォーラム・交流会

雲南の夕べ 交流会
飲みもの&雲南のお料理がでます!!
参加費:2,000円(作品上映とは別料金)

2006年08月16日

venue


中野区東中野4-4-1 ポレポレ坐ビル地下
(JR・地下鉄大江戸線東中野駅より徒歩1分)
Tel: 03-3371- 0088
www.mmjp.or.jp/pole2


千代田区神田駿河台2-11 アテネ・フランセ4F
(JR・地下鉄・御茶ノ水/水道橋駅より徒歩7分)
Tel: 03-3291-4339(13:00-20:00/日祝休館)
www.athenee.net/culturalcenter


東京都千代田区神田小川町2-10-13 御茶ノ水ビル1F
(都営新宿線「小川町駅」・千代田線「新御茶ノ水駅」 ・丸ノ内線「淡路町駅」、B5出口より徒歩1分/JR「御茶ノ水」駅・聖橋口より徒歩5分)
Tel: 090-3271-5280(佐々木)
www.neoneoza.com

チケット情報

チケット料金
※ポレポレ東中野、アテネ・フランセ文化センターは2会場共通。スペースNEOは別料金です

前売1回券1,000円/前売3回券2,700円
当日1回券1,300円/当日3回券3,600円

●前売券は会場窓口と、チケットぴあ(Pコード:476—442)、都内プレイガイドにてお買い求めください
●前売券の発売は9.15まで
●3回券は複数人数で使用可能
※『鉄西区』『医学としての水俣病—三部作—』は、各部ごと入替、別料金です



フリーパス 15,000円(50枚限定)
●フリーパスには山形映画祭2005オリジナルTシャツ付き(上映会場にてお渡しします)
●フリーパス購入希望の方は、ご利用の方の写真(3cm×2.5cm)をご持参ください
●フリーパスは会期前にはチケットぴあでのみ販売致します(Pコード:476-442)
●フリーパスは利用者ご本人のみのご使用となります

お問い合せ

お問い合せ

シネマトリックス
Tel: 03-5362-0671(月〜金10:00〜18:00)
e-mail: mail@cinematrix.jp

2006年08月24日

全景 全員集合!

山形映画祭2005レポート
全景 全員集合!

2005年の山形映画祭『部落の声』上映後に全景メンバー全員が集合し、メンバー紹介後、蔡静如(ツァイ・ジンルー)さんより、スライド・ショーを交えた「大歩向前走(前を向いて大きく歩こう)」シリーズについてのレクチャーがありました。
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『三叉坑』陳亮丰監督 質疑応答

山形映画祭2005レポート
『三叉坑』
陳亮丰(チェン・リャンフォン)監督 質疑応答
※DDSでの『三叉坑』の上映は9月26日(火)19:00からございます。
上映後には全景との交流深く、2005年の山形映画祭でこのシリーズ上映のコーディネーターを務めていただいた吉井孝史さんを迎えトークを行う予定です。こちらも貴重な機会ですので、ぜひ聞きにいらしてください。

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英題:Three Fork Village 原題:三叉坑
台湾/2005/北京語、タイヤル語/カラー/ビデオ/144分

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『梅の実の味わい』郭笑芸監督 質疑応答

山形映画祭2005レポート
『梅の実の味わい』
郭笑芸(グオー・シャオウィン)監督質疑応答
※DDSでの『梅の実の味わい』の上映は9月24日(日)18:45からございます。
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英題:A Taste of Plum 原題:梅子的滋味
台湾/2004/北京語、台湾語、客家語/カラー/ビデオ/142分

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『部落の声』李中旺監督 質疑応答

山形映画祭2005レポート
『部落の声』
李中旺(リー・チョンワン)監督質疑応答
※DDSでの『部落の声』の上映はポレポレ東中野にて9月26日(火)14:25から上映いたします。
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『部落の声』
英題:Radio Mihu  原題:部落之音
台湾/2004/北京語、タイヤル語/カラー/ビデオ/136分

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『天下第一の家』呉乙峰監督 質疑応答

山形映画祭2005レポート
『天下第一の家』
呉乙峰(ウー・イフォン)監督 質疑応答

DDSでは『天下第一の家』をポレポレ東中野にて9月22日(金)17:40より上映いたします。
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『天下第一の家』
英題:The House Masters 原題:天下第一家
台湾/2004/北京語、台湾語/カラー/ビデオ/89分

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「大歩向前走─台湾「全景」の試み」質疑応答記録

山形国際ドキュメンタリー映画祭2005レポート
大歩向前走(前を向いて大きく歩こう)─台湾「全景」の試み
シリーズ上映 質疑応答 記録

レポートにアップしました!!! ぜひご覧下さい!
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2006年08月28日

[書籍]ドキュメンタリー映画は語る

【ついに書籍化が決定!】

[書籍]ドキュメンタリー映画は語る
作家インタビューの軌跡
編:山形国際ドキュメンタリー映画祭「Documentary Box」編集部
発行:未來社
協力:シネマトリックス
山形国際ドキュメンタリー映画祭の機関誌として年に2回発行してきた「Documentary Box」。第1号から続けてきたシリーズ「日本のドキュメンタリー作家インタビュー」の14年間、26人すべてのインタビューが1冊の本になりました!
全国書店にて2006年10月5日頃より、アテネ・フランセ文化センターでは9月30日より発売開始!

未來社刊◎販売価格:5,040円(税込)

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2006年08月29日

DDS Website Is Opened Now!!

DDS Website Is Opened Now!!
Please click English button!!

Correction of flyer: There will be NO English subtitles for "Homesick Eyes."

上映作品に情報を追加しました

97作品もの上映本数があるなかで、なにを見たらいいのかわからないという方や、もっと作品のことを知りたいという方へご利用いただけるよう、各作品情報を追加しました。
各作品の紹介文の次にある「続きを読む」をクリックすると、山形国際ドキュメンタリー映画祭2005公式カタログに掲載された「監督のことば」「プロフィール」などのデータを読むことができます。その他、関連サイトにリンクなどしています。ぜひ、ご覧ください!

2006年08月31日

特別追加上映作品をお知らせします!

日本ドキュメンタリー作家シリーズで新たに上映可能になった幻のプロキノ作品をお知らせします!

10/6(金)12:40 〜
・『京都に於ける山宣葬』 製作・日本プロレタリア映画同盟京都支部
・『山本宣治告別式』 プロキノ作品 於・東京
 
上記の2本をもともと上映する予定の『山宣渡政労農葬』『小林一茶』『教室の子供たち』に加えて上映いたします。
非常に貴重な機会になりますので、ぜひこの機会にご覧ください!

・このプログラムの作品上映時間は約90分になります。
・上映順は『山宣渡政労農葬』『京都に於ける山宣葬』『山本宣治告別式』『小林一茶』『教室の子供たち』

About 2006年08月

2006年08月にブログ「ドキュメンタリー・ドリーム・ショー 山形in東京2006」に投稿されたすべてのエントリーです。新しい順に並んでいます。

次のアーカイブは2006年09月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

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