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監督からの言葉 登場人物
ストーリー 監督と「全景」
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Wu Yii-feng
 1960年、台湾、宜蘭県生まれ。逢甲大学に入学するも映像演劇を志し中退、中国文化大学演劇学科に入学、卒業。兵役を終え就職。そこでテレビシリーズ『百工図』を製作、さまざまな職場で働く労働者を描き台湾各地を取材してまわる。1988年にインディペンデントのドキュメンタリー製作集団「全景映像工作室」(以下:全景)を仲間と共に設立。

 1949年から1987年まで戒厳令の敷かれた台湾でのドキュメンタリー製作は社会に認知されない閉ざされた状況に置かれていた。その後の民主化の波にもまれ急激な変化を遂げるなか、「全景」は台湾ドキュメンタリー史を築く重要な役割を担い、またそれは彼らが公共メディア運動を興していったことと軌を一にしている。製作したテレビドキュメンタリーシリーズ『人間灯火』(1990)は台湾テレビドキュメンタリー史におけるの名作のひとつと名指され、放映後、自分でも撮りたいという若い人たちの要望を受けたのをきっかけに、1991年から移動型映画ワークショップ「地方記録撮影工作者訓練計画(地方ドキュメンタリー製作者養成講座)」を「全景」で実施。映画製作の垣根をはずすべく台湾全土あらゆる団体にコンタクトをとりながら活動している。ソーシャル・ワーカーや聴覚障害者、環境保護活動家、先住民など、さまざまなバックグラウンドの人々が学び、作品を発表していった。ワークショップは台北、花連、台中、高雄を、それぞれに半年かけてまわる。

 台湾の「行政院文化建設委員会」が「全景」のこのような活動を支持。同委員会の経済的な支援を得て、1996年に名称を「全景伝播基金会」に変更、参加メンバーに作品製作の支援と資金調達を提供している。呉はその代表。現在、台南藝術学院の音像記録研究所にて教鞭を執る。また、同学院音像媒体センターの総監も務めている。

 日本においてはこれまでの呉乙峰監督の作品3本とも山形国際ドキュメンタリー映画祭(YIDFF)で上映されてきた。1999年の映画祭では「全景」と映画監督・原一男率いる「CINEMA塾」が山形に集まり、スペシャル・プログラム「事例討議:全景(台湾)&[CINEMA]塾(日本)映画運動の試み」が企画され、そこで両製作集団の作品上映と“共同体の映画・映画の共同体”“民衆のドキュメンタリー運動”などのテーマに討論や交流会が行われた。



フィルモグラフィー

1990『月の子供たち』YIDFF '91上映
先天性色素欠乏症(アルビノ)の人々を見つめた心暖まるドキュメンタリー。差別についてまたは人種上の、民族上のアイデンティティーに及ぶまでの社会的な疑問を浮き彫りにした作品。

1997『陳才根と隣人たち』YIDFF'97、99上映
かつて国民党の中国大陸からの撤退にともない台湾へ渡った7人の老人たちの今の暮らしを写し取る。それぞれに異なる老人たちの事情と心のうちを巧みに引き出した作品。

2003『生命(いのち)−希望の贈り物』YIDFF2003上映
山形国際ドキュメンタリー映画祭2003 優秀賞
2003年ナント三大陸映画祭 観客賞

2004『天下第一家』