ペドロ・コスタによると、フォンタイーニャス地区の住民の80%が、カボ・ベルデ、アンゴラ、モザンビークからの移民である。フォンタイーニャス地区はリスボンのはずれに位置しており、近くには空港があり、広大な農場の一部だと、コスタは語っている。
1994年、ペドロ・コスタは、アフリカのカボ・ベルデを舞台とした“Casa de Lava(溶岩の家)”を製作する。その撮影後、カボ・ベルデの人達から、リスボンにいる家族のためにと多くの手紙や品物を預かった。そして、それらを持って、初めてフォンタイーニャス地区を訪れることになる。ペドロ・コスタは「行き先が見えてきた時、もう映画にある家と中にいた人々を見つけた。」と語っている。それが1997年の「骨」だ。フォンタイーニャス地区を舞台に、スラム街に生きる若者たちの生を描いた作品「骨」で、ペドロ・コスタは、ヴァンダと出会う。「骨」の撮影のため7ヶ月間を、そこで過ごしたコスタは、ヴァンダとその家族を捉えるための作品を構想する。そして、『ヴァンダの部屋』が動き出す。